ブログ Blog

病気の恩恵

2017年5月9日  投稿者:Simonton Japan


皆さまこんにちは。
サイモントン療法認定カウンセラーの嶋です。
 
今年はいつまでも寒かったですが、
ようやく春らしい暖かい日が増えてきたように思います。
私の住んでいる香川県は、年間を通して晴れている日が多い、
いわゆる瀬戸内気候で、これからは水不足がちょっと
心配な季節になります。
 
私は精神科の医者ですが、
先日、外来に摂食障害の患者さんが来られました。
その方は、太ることへの恐怖が強く、
非常に痩せている状態が10年以上続いています。
 
その方が、
「私は実は、病気が治るのを
 心のどこかで怖がっていることに最近気がつきました。
 自分はずっと治りたいと思っていました。
 治りたいけど治らない、だから仕方ないと思っていたんです。
 でも最近、治ることを具体的に考えるようになって、
 治ってしまうことが怖くて、
 まだ病気でいたいと思っている自分がいることに気がつきました」
と、おっしゃいました。
 
一緒に同席されていたご家族の方は、
「この気持ちが全く理解できないんです。
 病気なら治った方がいいに決まっている。
 病気が治るのが怖いというのは
 一体どういう心境なのか、さっぱり想像がつきません。」
とおっしゃっていました。
 
病気が治るのが怖いという心境には、
大きく二つの理由があるように思います。
ある程度の期間、病気の状態で過ごすと、
病気とつきあいながら生活することが
その人にとっての日常になります。
その人にとっては、病気が治る、病気から回復するということが、
今の状態から変化することになります。
私たちは本能的に変化を恐れます。
まして、病気が治ったことがない人にとっては
病気から回復した状態というのは、人生で未経験の状態です。
ですから、未知なるものに対しての純粋な怖れという気持ち、
それが一つの理由になります。
もう一つの理由としては、
病気になることで、その人が
何らかの苦しみから逃れている場合です。
 
あるいは、病気になることで、
その人が得たい何かを得ている場合です。
病気が治ることで、また苦しみを経験し、
得たものを失わなければならない、
そのように感じているとしたら、
病気が治るのを拒む気持ちもとてもよく分かります。
 
サイモントン療法でも
「病気の恩恵」について考えます。
病気になったことが、その人にどのような意味を
もたらしたのかを振り返って考えることはとても大切なことです。
そして、それが今後も継続したいものであれば、
病気でなくても継続していくように心がけていくことを勧めます。
 
先ほどの患者様は、社会人として働いた時に
とても辛い思いをしていて、
元気になったらまた仕事をしなければならないことを
とても怖れていることがわかりました。
以前のその人の働き方には問題があったので、
もっと自分を大切にしながら働いていく方法を考えていくようにしました。
 
私たちはどうも油断すると自分の本質から離れ、
周りに気遣い、しなければならない義務を優先し、
自分のニーズを満たすことを怠りがちになります。
自分のニーズを理解し、自分を大切にすること、
その気持ちを忘れないようにしたいと思います。
 
─────────────────★

■執筆者プロフィール■
嶋 宏美
サイモントン療法認定カウンセラー
精神科医・臨床心理士
古新町こころの診療所 院長

★─────────────────

当協会メールマガジン(無料)掲載の記事をご紹介させていただきました。
読者の方向けの特典や先行のご案内などもさせていただいております。
これまでに配信いたしましたバックナンバーもご覧いただけます。
よろしければ、下記の協会ホームページよりご登録くださいませ。

ホーム

特 集

イベント情報

お知らせ