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日常こそが宝の山

2017年5月3日  投稿者:Simonton Japan


こんにちは。認定トレーナーの川畑のぶこです。
 
東京はハナミズキが満開となり、若葉が眩しい季節となりました。
その艶やかな自然美と、ゴールデンウィークという輝かしい長期休暇に、
行き交う人々の口元にも笑みがこぼれています。
 
さて、筆者のゴールデンウィークは
といえば一昨年からは、決まって仏教三昧です。
先週末は海外から4名の講師を招聘して、
ティクナットハン禅師に学ぶ、
マインドフルネス研修会を開催しました。
そして、明日から5日間は、チベット仏教の慈悲の教えを説く、
医師でチベット僧侶のバリー・カーズィン先生を招き学びます。
両研修とも、主催者として関わっているため、
ただじっくり座って参加とはいかず、
常に会場とバックステージをいったり来たりしながらの参加です。
あぁ、この部分、じっくり聞きたかったなぁ、
通訳でなく、みんなと一緒に実践したかったなぁ、
などと過るのが正直なところです。
これは、当初サイモントン先生の通訳をしている時も同じでした。
 
ところが、運営側というのは、裏舞台であればこその、学びがあるのも事実です。
それは人々の流れだったり、講師陣や師たちの素の部分であったりします。
講師たちはステージのプロジェクションの中にではなく、
それらを含む、バックステージでのやりとりや、
日々の関係性の中にマインドフルネスなあり方を、
ありありと提示し、教えの極意に気づかせてくれます。
 
昨日のマインドフルネス研修では、
Q&Aを含むパネルディスカッションでたくさんの質問がされました。
その中で、ある参加者の質問に対してバムラングラッド国際病院の腫瘍医、
スワンベチョ医師が行った回答は興味深く心に残るものでした。
 
その質問とは、
「マインドフルネスを(このような研修などで)行っている時は良いが、
 現実に帰った時に、その落差が著しくがっかりする。どうしたら良いのか。」
というものでした。
それに対し、スワンベチョ医師は、
「マインドフルネスというのは、どこかでやるものではなく、日常の中で実践するものだ。」
と回答しました。
 
彼女は、講義の中で次のようなケースを紹介しました。
がんのターミナルケアの現場でのこと患者さんのリビングウィル
(生前の意思)により
「延命治療はしない」という約束が医療者との間で交わされていました。
いつもそばに付き添っていた妻もそれを受け入れていました。
ところが、死期が迫り、それまで見舞いに来たことのない家族が
病院の集中治療室に到着すると、呼吸ができなくなり、
意識を失いつつある彼を見るや、その場にいた医師に 「挿管しろ!」と強く迫りました。
医師はリビングウィルを伝えたのですが、家族は怒り出しました。
当時はまだリビングウィルの概念が社会に定着する前だったため、
このような状況下では家族の意思が尊重される傾向がありました。
担当した医師は、家族の指示に従い挿管をしました。
すると患者さんが意識を取り戻したのですが、
今度は患者さんが自分の体が管に繋がれているのを見て、
般若の面で怒り出したのです。
家族に対して激しく怒り、約束を破った医師に対して激しく怒り、
管を抜くよう強く迫りました。
今度は家族が泣き出し、彼の意思に従って管を抜いてくれと迫ります。
ところが、一度挿管した管を抜くことは法律的に許されません。
たとえ本人と周りにいる家族全員が管を抜くよう懇願しても、
それはできないことだったのです。
 
今度は家族全員が申し訳なく思い、泣き出し、
病室は怒りと嘆きに溢れました。
主治医であったスワンベチョ医師の携帯電話に連絡が入り、
この状況が伝えらました。
彼女はもちろん心穏やかではありません。
このような時に、どうしたらよいか、
頭をフル回転させて考えて見ても、
良い答えなど一向に湧いてきません。
 
そこで、彼女は自分の呼吸に帰る実践をし、心の声を待ちました。
 
ICUは病院の上階にありましたが、
あえてエレベーターは使用せず、階段を登りながら、
意識的な呼吸とともに、歩く瞑想を行いました。
ICUのある階まで来ても良いアイデアは浮かばず、
廊下を歩いてICUの扉に手をかける瞬間でも一緒でした。
ただし、常に、一歩一歩、その瞬間瞬間に、彼女は呼吸とともにいました。
 
扉を開けて、怒りと悲しみのエネルギーに溢れた治療室に入ると、
彼女の口からは自然と次の言葉が出てきました。
 
「さあ、皆で瞑想しましょう」
 
患者さんも、妻も、家族も、医療者も、皆でそれぞれの呼吸に帰る
瞑想を行いました。
呼吸に帰り、自分に帰り、いのちに帰ります。
すると、一瞬のうちにして部屋の空気が変わりました。
患者さんも家族も穏やかになったのです。
 
スワンベチョ医師は患者さんに
家族を許すようお願いしました。
すると彼は穏やかな顔で頷きました。
その10分後に穏やかに息を引き取りました。
 
スワンベチョ医師は、このような激しい現場で
マインドフルネスを実践しており、
激しい現場であるからこそ、
マインドフルネスが力を発揮している
ことを教えてくれています。
マインドフルネスはリトリートや
僧院で実践するものではなく、
日常の中で実践するからこそ
役立つものであるとシェアしてくれました。
また、日々の実践なくして、
穏やかさをもたらすことは不可能だと。
 
もし、相手に穏やかさをもたらそうと
思うのであれば、まず自分自信が
穏やかである必要があると。
そのために、医療者自身が
マインドフルネスを日々実践して、
そのエネルギーで患者さんに
接することが最も重要なのだと。
 
私は今回、マインドフルネス研修の
半分は参加できませんでしたが、
その倍以上の時間を講師たちと過ごしています。
日常やバックステージの彼らは、
ステージの上の彼らと何ら変わりありません。
誠実さと、慈しみある言葉や態度で
人々や物事に対して、しなやかに
しっかりと、そして丁寧に接しています。
理屈ではなく、その人の醸し出す
エネルギーそのものが癒しであることを感じています。
 
日常こそが行の場であり、日常こそが宝の山なのですね。
 
このゴールデンウィークがみなさんにたくさんの喜びと
輝ける気づきをもたらしますように。
 
Breathe & Smile,

─────────────────★
◆執筆者プロフィール◆

 川畑のぶこ(かわばたのぶこ)
(サイモントン療法
 認定トレーナー/トレーニングディレクター)

 家族と沖永良部島の海をこよなく愛す
 サイコセラピスト

 座右の銘:Breathe & Smile ♪
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